土佐錦の水換え
水換えの様子です. 師匠から伝授されたノウハウが随所にありますが,
まだまだ達人に域には達していません (笑).
土佐錦の最初のページにも書きましたように, 水換えは,
選別などとともに土佐錦を造る上での基本になります.
たとえば, 夏に水が青くなってしまうと, 鰓がこけたりします.
なので, 夏は毎朝 6 時から 8 時前 (随分幅があるなぁ, 本当は 5 時くらいが
いいみたい) の間に行っています.
まずは, 魚の掬い方から. . .
洗面器の両端を, 両手の親指と人差指とでそれぞれ持ちます.
(洗面器は白い方が良い. 選別も同時にできるから)
洗面器を斜めにして, 自分から見て丸鉢の反対の端の方から入れていきます.
このとき, そーっと入れます. 以降の動作は全て, そーっとです.
両手の残りの指を広げて, 丸鉢の中の全ての錦魚が洗面器に
入るようにしながら, 洗面器を手前に寄せます. 洗面器の底が
丸鉢の底と触れるくらいに.
魚が逃げそうになったら, 空いてる指で囲い込みます.
洗面器を水面に上げ, 水底のゴミと水面の油分を落します.
これで全部の錦魚を一度に掬うことが出来ました.
洩れた錦魚がいたら, そーっと手で掬って, 洗面器に移します.
毎回, 水換えの度に錦魚を手や網で追っていたら大変でしょう!
私も, 師匠に教えていただいたときに, 目から鱗が落ちました.
これは, 錦魚の鱗が落ちない方法ですね.
別の師匠からは, このときに洗面器の中に僅かに餌を入れておくと,
洗面器の中に自分から入ってくる習慣が見につくそうです.
私の家は鉢が少ないので, それはしていません.
掬った洗面器は, 隣の池に浮かべます.
この, 半透明の洗面器は, 白っぽい色の場所に置くと褪色前の魚が見やすく,
暗い色の場所に置くと褪色後の魚が見やすいという利点があります.
とにかく, このときに魚をじっくり観察しています.
健康状態, ハネるべきか, など. . .
それから, この時間を塩浴, 薬浴
(この洗面器に対して塩を大さじ山盛り一杯入れる, など) の
時間に当てることもできます.
もちろん, かわええなぁ, と思って眺める時間でもあります.
排水栓を抜いて, 水を完全に抜きます. 排水は 15 リットルのバケツで
受けているのですが, 一瞬で満杯になります. この速さによって
確保された空き時間も, 錦魚のために使うことが出来ます.
水は完全に抜かないと, 底にたまっている一番汚れている部分がとれません.
それでは, 水換えの意味がありません. 水質管理のポイントかと思っています.
水が抜けたら, タワシなどでごしごし苔をこすります.
これで, 苔を鍛えているという気構えでしています.
実際に, 苔が強くつくようになるようです.
一日ごとに手でこする, タワシで研く, を繰り返すことで苔の成育を
調整しています.
汲み置きの水を入れます. 本当は, このときもポンプから汲み上げて
給水を出来る仕組みがあるといいのですが, 現段階ではバケツを使って
ざばーっとやっています.
錦魚がそれまで過ごしていた元の水も, 汲み置きの水も, 同じような
ところに置いていますので, ほとんど水温差はありません.
水は, 容器ぎりぎりいっぱいまで入れています.
そうすると, 風が通るので, 酸素が混入しやすくなるそうです.
洗面器の魚をそっと戻します.
なので, 夏の水換えでは 9 割以上の水が新しい汲み置きの水ということになり
ます. それでも, 次の日の朝には, 結構濁っているときがあります.
本格的な土佐錦家の池は, 丸鉢が何十個もあります. 素晴らしすぎます!