ためになった本 など
ここには, 個人的に Linux を導入するに際して役にたった本を
まとめておきます. 最近, PC-UNIX本は売れるからかどうか知らんけど
山のように出版されています. わしがよく行くのは駒場の生協なのですが,
Linux関係の本はいつも平積みになっています.
その中には買ってから「あちゃー, しまった」と後悔する本も
少なくありません. ということで, ここに挙げた本は
熟読に耐えると思ったものばかりです.
UNIX 関係の本の場合, 本の内容そのものが欲しい情報であるというよりも,
欲しい情報を得るための手引として本を買う場合が多いと思います.
つまり, オンラインマニュアルやネット上の資源の方が丁寧で新しくて詳しい
場合が一般的です. そういう情報にいかに素直に到達出来るか, ということが
本の価値に大きく関わってきます.
それと基本的に, 独学するときに役に立って欲しいものです.
身近に詳しい先輩がいてくれたら結構なのですが, 得てしてそんなありがたい
環境でないことが多いと思います.
WWWユーザーによるLinux/UNIX書籍ランキング!!
は, Linux本を買うときに大変参考になるページです.
わしがお勧めする本も, このページでランキングの上位に挙がっている本が
多いですが, Linux と銘打ってなくても Linux を使うのに参考になる本も
ありますし, UNIX の場合は古い本でも充分に役だったりしますので,
そうした本も含めてあります.
因みにわしは計算機科学を専攻した訳ではないので, 趣味の書評だと
思って下さいな.
- Linux 入門
小山裕司 斎藤靖 佐々木浩 中込知之 トッパン(1996)
この本があったから, PC-UNIX を導入するときに
BSD系 ではなくて Linux にしたようなものです.
インストールしてからどうすれば使えるようになるかということが
丁寧にまとまっています. 今だったら, Slackware でなくていきなり
Debian を導入することも考えられますが, この本を買った当時は
抜群の情報量だと思いました.
- Linux ネットワーク
小山裕司 斎藤靖 佐々木浩 中込知之 トッパン(1998)
上の本の続編なのですが, 編集に時間がかかったようです. やっと最近
出たので, 速攻で買いました. この2冊は網羅的に解説することを主眼と
しているようで, 詳細はオンラインマニュアル等を見なさい, という
スタンスです. でも, 一通り網羅的な情報があると大変助かります.
とくに, クライアントだけではなくサーバの解説も一通りあるので
たまに熟読しています.
- The UNIX Super Text(上下)
山口和紀 監修 技術評論社(1992)
この本は Linux を導入する前から読んでいたのですが, 今でも読み返すこと
が多々あります. 上の本よりもプログラミングの初歩を突っ込んで
書いてあります.
- Linuxを256倍使うための本
生越 昌己, 大内 和博, 阿倍 博信 アスキー出版局
こちらは, どちらかというと"バイブル"です. 内容が古かろうが,
説明が中途半端だろうが, どうして Linux は素晴らしいのかということ,
あるいは Linux の精神の根底には何があるのかということについて
触れている本はあまりないことを考えると, 一読しておく価値があります.
- Linux活用入門(トラ技コンピュータ別冊)
小林直行 CQ出版社
"Linux入門"に比べると, 著者が一人なので自ずと解説にも限界が
あるようですが, 他のPCなどとのネットワーク, SOHOを一から
作っていくための説明は参考になります.
- UNIX の環境設定
久野禎子 久野靖 著 アスキー出版局(1993)
ここから4冊はアスキーのMy UNIX Series です.
UNIX を使い始めるとまず覚えなくてはいけないのは端末の使い方,
そして沢山あるドットファイルが何をしてるかということですが,
そうしたユーザー環境の設定についての本です.
- UNIX 日本語環境
松田晃一 暦本純一 著 アスキー出版局(1995)
それと同時に設定しなければならないのは, 日本語環境でしょう.
最近は日本語環境が最初から整備されているディストリビューションも
多いですが, それらもこの本で解説されているツールを組み合わせたものに
ほかなりません. 商用の Wnn6 などを中心に解説した類書もありますが,
この本は Canna や Wnn4.2 ベースなので, 商用ソフトを買わない人には
今でも充分役に立つ内容だと思います.
"Linux入門"を総合的なLinux入門の本だとすると, Linuxをインストール
したあと, こうした日本語環境の本をどれか一冊読む必要があると思います.
- 入門 X Window
松田晃一 暦本純一 著 アスキー出版局(1993)
主に解説しているウィンドウマネージャが twm だったりして, 多少古く
感じるかもしれませんが, Xの基本であるリソースやフォントの考え方や
国際化については現在でも使える知識であり, 本書はよくまとまっています.
- UNIX システム管理
高木茂行 著 アスキー出版局(199)
Windows98やMacOSと UNIX が違うのは, ホビーとして導入したUNIXにも
"システム管理"という考え方が必要だということでしょう.
立ち上げスクリプトの書き方やユーザー管理の方法などの入門書として
良いかと思います. 何をせなあかんのか, という視点は初心者だと
なかなか自ら悟るのは大変なので. そのあとでOSごとのシステム管理の
本を読むと良いかと思います.
- pLaTeX2ε for Windows Another Manual
乙部厳己 江口庄英 著 ソフトバンク(1996)
Linuxを入れた. で, 何をするかといえば, ネットワークを利用したり
プログラムを書いたりするのでしょうが, それと並行して TeX で文書を作る
でしょう. 本書は Windows 版の pLaTeX2εの解説ですが,
インストールと環境設定さえ終れば 後は Linux で pLaTeX2ε を使う際にも
充分使えます. JF に pLaTeX2ε を導入するためのガイドがありますから,
後は出来るだけ詳しい参考書が欲しいわけです.
もっとも, 本書は 秀丸+TEXMAC 環境で説明していますが
Mule+YaTeX で説明してくれたらもっと良かったのに, というのは
お門違いの要望ですが. .
他のお勧め: pLaTeX2ε美文書作成入門 奥村晴彦著 技術評論社
- Ghostscript Another Manual
江口庄英 著 ソフトバンク(1997)
こちらは上の本と同じシリーズ(?)ですが, Linux についても Windows と
並んで解説されています. Linux についてはソフトのコンパイルの仕方まで
説明してあります.
- 化学者・生化学者のための LATEX
パソコンによる論文作成の手引
藤田眞作 著 東京化学同人(1993)
TeX 関係の書籍は, なかなか”これ”という決定打がないものだと思います.
何故なら, TeX 関係で自分がやりたいことというのがマニアックである
ことが多いからでしょう. そうじゃなきゃワープロを使えばいい.
でも, それは自分にとってはそれほどマニアックな要求じゃないんだけどなぁと
思うことであったりします.
たとえば, 引用文献を [1]-[3] と出力させる方法はどの本を読んでも
わかりますが, [1-3] と出力させる方法がわからなかったりする.
それ以外にも, 論文を書くときに重宝するスタイルファイル
(nature から 日本化学会誌まで)がいっぱい
ある本書は, 高い(4700円)けれど一読の価値があります.
この本の著者はバリバリの化学者だけあって, 化学物理から生化学を
やる人にはありがたい.
- LaTeX スタイルマクロ ポケットリファレンス
奥村晴彦 監修 技術評論社(1997)
わしが最初に TeX を使っていた頃には研究室に一人くらい”生き字引”
みたいな方がいて, 逆にいうとその人がいなければ, 使いこなす以前に
環境を構築できないという困難がありました.
環境を作ることじたいは, 最近では随分楽になりましたが,
使って行く上での細かいノーハウが欲しいときにこの本は良いと思います.
Web 上を丹念に探せば見つかる情報ばかりですが, 一冊になっている
ところがミソなのでしょう.
「ポケットリファレンス」ですが, なかなか濃厚です.