私は Debianize するべきか?
これもまた, 既に Debianize された方々にとっては「今さら」な話題かも
しれないが, わしは今年 2000 年に入ってからようやく
家と仕事場の Linux BOX を Debian にしました.
Slackware → Debian という変遷は, 2, 3 年前の bo-jp が
Linux JAPAN 誌に掲載された事件(笑)前後がトレンドで
あったかと思います.
それをわしは頑なに Slackware (or Plamo)で通してきました.
何故か? そりゃ別に Slackware で満足
していたからというだけです.
物理のシミュレーションの研究者が使う手元の PC の OS として,
Slackware + JE は, ほぼ完成されているんじゃないかと思います.
(何度か書いているように, シミュレーションそのものを行う環境としては,
大型計算機や専用計算機 (GRAPE なんか)が有利だったりしますが, ここでは
「普段の生活」を行う環境として, です. ) Kernel を 2.0 から 2.2 にした
り, libc5 を glibc2 にしたりして何のメリットがあるかといえば, gettext
などで今まで英語表示だったのが日本語表示に出来たりする, それから一括り
にいえばマルチメディア系のハードやアプリケーションが使えるようになる,
SMP なマシンを持ってる人は SMP を使える, といったことでしょう.
これは TeX でしこしこ論文を書いたりしてるだけのわしには関係な
い, と言ってしまって良いことなのでした. まぁそりゃ, 「最新の」環境,
というのは聞こえがいいですが, これは逆にいえば「枯れていない」環境, と
いうわけでして, 自分の環境が Debian でいうところの stable から置き去り
にされていくのは悲しいけれど, 別に死ぬほど不自由するわけではない, と.
最新のアプリケーションを導入したい場合に, libc5 じゃ絶対動かない, とい
うものは「物理のシミュレーション屋の道具」では少ないでしょう. だから
make すればいい.
あえて, Distribution を変えることがあるとし
たら, それは新しいマシンに OS を入れ換えて気分一新するときでしょう.
でも, この冬のはじめまで, わたしゃ家では 486DX2 66 MHz で, 仕事場では
Pentium 120 MHz だったのでした.
枯れたハードには枯れたソフトが相応しいと思うのは気のせいでしょうか.
たとえば, PocketBSD 1.x では最新の FreeBSD 4.x でなく未だに
FreeBSD 2.2.8 を使います. だって必要ないもん.
ということで, 家のマシンが K6 になって, 仕事場では
Celeron になるというめでたい「外圧」がなければわたしゃ Debian にしませ
んでした. いや, 仕事場のマシンが Celeron になったところで, HD がもと
のまんまだったので, あえて新しい OS にするという趣味性の高いことはしま
せんでした. 仕事場にも Debian を入れてしまったのは, 何よりも 26 GB の
HDD が手に入ったからにほかなりません.
さすがに, 今までの環境
を捨ててでも, いろいろやってみたくなるでしょう.
なんで RedHat
系にしないの? というのは, わしにとっては自明でして, Distribution のメ
ジャーバージョンがあがるたびに一からインストールするんだったら,
Slackware と変わらないやんけ, と思ったのでした. パッケージ管理はあっ
たほうがいいけれど, 中途半端なものがあってもかえって不便, と思ったので
した. それと, 多少は原理主義的なところがあったかも.
debian では alien が, ほとんどの rpm パッケージに対して機能する.
つまり, rpm でしか配布されてないパッケージでも, debian で問題なく
使えます. 多分.
debian が不便だと思うのは, PC-UNIX ではごく標準に使われている
ソフトでも, non-free に分類されていると雑誌などの CD-ROM に
収録される際, 省かれてしまったりすることではないかと思います.
たとえば, アスキーに版権のある pTeX は debian 的には non-free に
分類されています.
そこで, slink が Linux Japan 誌の付録になったとき, pTeX 本体が
2 枚という枚数制限から CD-ROM に載らなかった.
研究室などのネットに常時接続の環境なら, apt-get すればいいので
どうってことないのですが, 28.8 kbps 回線の自宅だと困った.
そこで, Vine Linux から pTeX の rpm を alien で deb 化して
インストールしました.
Netscape Communicator も同様です. 実は, 自宅では debian を
ベースにした Vine とのハイブリッド(笑)が, なかなか便利なのでは
ないかと思ったりします. .
このように, 無理に alien で導入するパッケージは, 数は知れているので
slink から potato にアップグレードするときには, それほど影響が
ないでしょう.
逆にいえば, non-free のパッケージも気軽に apt-get 出来る常時接続の
環境では, debian ほど便利なディストリビューションはない, とも
いえます.
わしの最近の日課は, X Window を起動すると, おもむろに rxvt を
起動して, su して, dselect して, update して, select で
何が更新されているかを確認して, install します.
Slackware では, 気にならないようなバグは放置しておくわけですが,
debian 的には半自動的にバグフィックスされたパッケージに
置き換えてくれる.
「お, こんなマニアックなところに不具合があったのか. 」と,
dselect の画面を見るのが毎日楽しくなる.
dselect は不便だと方々で言われていますが,
dselect が不便なのは最初 (インストール時, 慣れないとき) だけ
なんじゃないでしょうか.
そう, またもや「慣れ」の問題. Linux (というか UNIX) 自体,
慣れない人は(文房具)として不便だといい, 慣れてる人は商用の
PC の OS よりよほど便利だという, この一見矛盾の再現です.
debian も慣れれば素晴らしい. dpkg のオプションに慣れるのは
人によって 30 分だったり, 1 週間かかったりすると思いますが,
慣れなきゃ便利だと思えない.
でも, わしは Linux に一度慣れてから, debian にもう一度慣れる方が
いきなり debian を使うより良いと思います. 何故なら, debian では
多くのことが自動的に設定されるので, 「勉強」にならないからです.
でも, debian を「勉強」する必然性は「それほど」ないのではないか
という気がしないでもない. . だって, Slackware で「完成」されてるので.
でも, debian があると, make する元気の出ないソフトでも
気軽に楽しめてしまう.
アプリケーションどころか, カーネル自体も気軽に 2.0 系から 2.2 系に
更新できてしまったのは, たまらんです.
他には, Slackware 3.x では試せなかった(面倒だった) mozilla とか
gnome とか KDE とかが, あっさりと試せてしまう. .
具体例は感動したら順番に書きたいと思います.
ってことで, 今年からすっかり debian です.