Ngraph の Linux 版はフリー

数値計算屋じゃなくても、自然科学、人文を問わず 定量的な研究をしている人は研究の結果をグラフに描くことになると 思いますが、何を使ってるんでしょう?

わしがコンピュータを最初に手にしたのは比較的遅くて、 大学に入った1990年頃にポケコンを買ったのが最初です。 それまではグラフは手で描いていました(笑)。アナログ派。 昔でも、"進んでいる"人は小学生でも"マイコン"を使っていた みたいですが。。 ポケコン(SHARPのPC-1490というE1500の大学生協モデル) を買ってからは、プロッターで出力したりしていました。 この手の話を人に聞くと、感動することも多くて、たとえば 電卓が普及する前はデータの解析に"計算尺"を使っていたそうです。 100年以上前に遡ると、電気光学で有名な Kerr は、 ローソクの光で Kerrの法則 を発見したそうです。

それはともかく、DOS の頃からお世話になっている Ngraph の Linux版がバイナリーフリーで配布されています。

Ngraphのページ

わしの環境は libc5,XFree86 3.3.2 なのですが動いているので、libc5版だけが 配布されているようです。 99年3月17日版でソース、およびglibc2版バイナリも公開されたよう です。

上のサイトから私は Ngraph-6.2.02-linux-libc5.tar.gz をダウンロードして、 展開したあと Install を実行すると、簡単にインストール出来ました。 ソースも持って来たのですが、lesstif が問題なのかバージョンが古いのか x11 以下のコンパイルに失敗しました。
上のグラフを作っているときのスクリーンショット

マニュアルは、かなり丁寧なものがあります。
Ngraph for Windows User's Manual
Linux版も、ボタンなどの表示が英語になっている以外は Windows版と大体同じですので、充分に参考になるでしょう。

と思っていたら、「日本語リソース」など非常にありがたいページがありまし た。
Linux で ngraph(H.Ito 様のページ)

作者様のページ(および辿って行けるところ)の解説がとても詳しい (しかも日本語)なので、くだくだ書くことはありません。 動作も安定していて、充分実用的です。 gnuplot も良いのですが、GUIでグラフを作ることが好きな人には 強力なツールであると思います。 軸ラベルなどのフォントも、日本語を含めていろいろ使えます。 このページの上のグラフは私が論文に使うものです。 (epsで出力してpLaTeX2eで処理してxdviでプレビューを表示させたものを gimpでX Windowの画面キャプチャをしたもの。)

ささやかな Tips

・上のグラフの箱型の凡例は Preference→Addin script→LEGEND で 簡単に作成出来ます。
・縦軸の凡例のようにフォントが入り組んでいるものは、
%F{Sym}a%F{TimesBold}(%F{TimesBoldItalic}n%F{TimesBold}) / 10^-33@ Fm^2
のようになりますが、よく使うものは私は論文の *.tex ファイルの末尾に 書き込んで、カット&ペーストで ngraph に入力しています。 ちょうど行頭が % (TeXのエスケープ文字)なので都合がいいです。 また、日本語を入力すると表示されないことがあります。 これは Motif の国際化の問題だそうです。
・私は XF86Config で
    FontPath   "/usr/X11R6/lib/X11/fonts/75dpi/:unscaled"
    FontPath   "/usr/X11R6/lib/X11/fonts/100dpi/:unscaled"
のように 75dpi のフォントを設定していたため、Ngraph の画面に 書き込んだ文字が一部表示されませんでした。 :unscaled をつけると X window の描画が高速になりますが、 このような問題もあるということで。。