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コンサートが始まる前の会場。なかなか良い席でしょう？900円だったのだ。
ホールは天井から自然光を採り入れるようになっている。日本ではどんなオケの
演奏会でもあるヒナ壇がここにはない。それと特徴的なのが、後列に
木管は左手、金管は右手、という配置をとっていることだ。
最近、ハードディスク レコーディングに凝りはじめたせいか、
生音で絶妙なバランスを作るということに素朴な感動を覚える。
さて、本当は写真撮影禁止なので、ここから先は運が良ければ日本でも
ラジオで聞けるだろうが、言葉で演奏会を辿っていく。
最初のサン サーンスはロストロのレコードを聞いているせいか、
どうしても線が細く感じてしまうが、2楽章のメヌエットのオケとの絡みは
なかなかだった。
次のロココ変奏曲は、プログラムではコッコネンの協奏曲というのが
ある筈だったので、最初、少々戸惑った。
僕はこの曲の第3変奏の、AからCに調性が変わるところが好きだ。
どうでもいいことだが、「木漏れ日」という僕らの曲で、Bメロが
AからCに変わっているのは、この転調の味が忘れられないからだ。
また、その前前日に学会の遠足でペテロドヴォール（夏の宮殿）に
行ったときに、ずーっとこのロココのメロディが頭の中で聞こえていたのだった。
演奏は？良かったんじゃない？それにしても、聴衆がスタンディング
オベーションで迎えたのは、作曲家に敬意を表してか、なんだろう。
休憩の後の、ラロは、なかなか聞きごたえがあった。
ソロはスウェーデンのヘルマーソンだが、表現の強さも申し分ないという感じ。
ショスタコビッチがチェロ協奏曲を書くにあたって、この曲を参考に
したというのは本当か嘘か知らないが、この曲はラテン的な陽気さと
何故か宿命的な重みとが同居している作品だ。この、「宿命的な重み」を
表現するのは「レニングラード フィル」の十八番だろう。
このオケにかかっては、フィナーレのサティアパート的な軽快なリズムも
ロシア バレエの幻惑のような響きがする。ソロも良くノっている。
うーむ、穿った聞き方だろうか。北海道と沖縄では古語が似通っている
そうだが、ロシアとピレネー山脈にも共通するものがあるのかしらん。
それにしても、現代に至るまで「ラテン的なるもの」の底に流れる
暗さ、についてもっと考えてみたいと思った。