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1998年1-4月 1997年後半 1997年前半
  1996年

.Lastupdate: Sun Feb 4 22:04:30 2024.


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2 月 4 日: Sugar Cane

2021 年 4 月 11: Songs of Comfort な曲を作った で公開した Sugar Cane ですが,チェロ二重奏に加えて チェロとピアノの版も作りました.

スコア
チェロ譜
も,演奏する際に作曲者(私)のクレジットを入れていただけたら 自由に演奏ください.演奏は,二次創作.


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1 月 31 日: 東京都同情塔の感想文

5%は大規模言語モデルを用いて書かれた,というだけの理由で買ったのですが,うーむ,おじさんにとっては「出来の悪い安倍公房」という感じ.ジャンルとしては思考実験小説ですよね.

どっかの書評に「サイエンスライター風の文体」とあったけど,うーむ,そういう感じは全くしない.

どういうところで,そう感じるかというと,これって登場人物のうち一人(建築家)は専門家じゃん.専門家が専門家らしく見えない.この登場人物が,ものを考えている文章の地の文や,会話が,文系的というか情緒的というか,専門家らしくない.思いがあるのは伝わらんでもないけど,リアリティがない.30代の女,としてのそれはあっても専門家としてのそれがない.

もうちょっと専門用語とか語彙とかを拾ってきたらよいのに.僕は高層建築の工法についての博士論文の査読を副査としてしたことがあるんですが,そういう文章から拾ってきたらいいのに,と思うわけです.

もっというと思考回路.今日,交わされた会話なのですが,「今回のイベントの写真を撮った?」と質問された人が「10の2乗のオーダーで撮りました」と答えて,ちょっとウケてました.理系の研究者だったら誰でも即時にわかる,こういう言い方があるわけで.

安倍公房は,そういうところがチャンとしてたというか.さすが医者というか.お医者さんは,わざわざそういう言い方するところがあるじゃないですか.でも,医者をそれっぽく描写するのは文学作品では良くあることで,だったら建築家もちゃんとそれらしくして欲しかった.SF 好きとしては,そこで辛くなってしまう.

あと,アメリカ人のおじさんも出てくるんですが,アメリカ人の思考もなんかリアリティがない.これまた,私ゃ子供の頃アメリカ人だったので,ちょっとだけ判るんですが(関西人の思考についてもちょっとだけ判る,程度ですが),なんか全然違って,テレビで見るアメリカ人が出てくる,みたいな.この人の経歴をちゃんと設定して,たとえばノースダコタで育ったのかサンフランシスコで育ったのかで全然違うわけだけど,そういう造型がない.匂いだけ伝わってくる.こういうのも,限界があるというのは容易に想像できるんですが,今時いっぱい多国籍的な読者もいるわけじゃないですか.良く通ったなぁって(「良く通った」というのも,研究者っぽい言い方).

登場人物のリアリティを定置するって,本当に難しいと思います.僕は詩を書けるけど小説が書けない理由はそれで,登場人物に対する責任を想像すると,無理ムリムリって思ってしまうのです.

通勤や通学で新宿駅を通る,今時の東京人にとってスっと入る小説なのかもしれない.けど,東京ドメスティックじゃない人,ちょっと科学者だったり,ちょっとアメリカ人だったりする人が,僕も日本人だけど,それは今の日本のようで違う,と一言言ってしまったら,価値が半減してしまいそうな弱さを感じるわけです.

文明を語るんだったら,もっと多国籍でテクノロジーの奥に入って,ってのを期待してしまう.文学に対するそういう期待があったから,こういう作品を非の打ち所のないと言ってしまう評論家?選考委員?がいるから,僕は文学系だったのに,科学者のフリをしようと思ったのが高校生くらいの頃.科学者のフリを何十年もしてたら,本当にそうなっちゃった,と,ふと自省してしまった.

念のため付記しておくと,この作品が思考実験小説じゃないというのでしたら,誤読なので,お許しください.もっと作家の感性に近い部分で何かを描写し続けたた方が良いような気がします.偉そうにすみません.


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1 月 4 日: 耳の痛い話

本年も宜しくお願いいたします. 研究室のページに載せるネタかもしれませんが, 僕もちょっと意見を述べさせていただきました,材料シミュレーションに関する JST-CRDS 戦略プロポーザルがオンライン化されました.是非ご覧ください.

一番のポイントは人材で,端的にいうと「ハードウェア(京や富岳)の寿命よりも,ソフトウェア(MODYLAS や GENESIS)の寿命の方が長いのに,国プロはハードウェア単位であるため,ポスドクさんたちが困る」ということです.錚々たる面々ですが,皆さん意見が一致してました.

閑話休題. 明日は,研究室のOBOG会なのですが,欠席の連絡をしてきたOBに,今話題になっている大阪のD社(元うちの親会社)の人がいました.で,ふと,職場の4S係を良くやらされていた同僚の話を思い出してメールに書きました.以下.

>部署の4S担当の人(特定の人が能力が高いので仕事が集中してしまうことがある)が昔,飲み会でボヤいてたことがあるのですが,4Sは仕事場の欠点を指摘していく作業なので嫌われる.でも,自分は嫌われたくて指摘してるんじゃない,真面目なだけなんだと.その話を聞くまで,僕も正直,4Sが厳しすぎて面倒臭いなあと思っていました.が,考えを改めました.みんなが,耳の痛いことを言う係の人の意見を聞くべきなのですよね.その積み重ねが,会社の信頼につながると思います.

今年は元旦から大変ですが,皆様のご多幸をお祈りいたします.


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